来年こそ、運動を始めましょう

これまでもからだの情報では運動の重要性について述べてきました。一般の方は筋肉を単なる栄養の受け皿としてしかとらえていない方も多いように思います。しかし、近年になりそのとらえ方が大きく変わってきています。様々なホルモンに近い物質を筋肉が分泌することがわかり、その作用が次々と解明されてきています。特に運動によってもたらされるものが重要で、総称としてマイオカインと言われています。マイオカインは20年以上前に最初の報告がされて以来、多くのものが見つかり、その作用について考察されてきました。あまりに種類が多いので個々の説明は割愛しますが、作用には特筆すべきものがあります。
・筋肉そのものの成長と修復
・筋肉への糖の取り込みを積極的に行わせることにより、血糖値が安定する
・脂肪細胞に蓄えられている脂肪をエネルギーとして使いやすくする
・膵臓からのインスリン分泌を増加させる
・抗炎症作用により動脈硬化の進展を予防する
・骨形成を促進し、骨粗しょう症予防につながる
・脳へ直接的に働きかけ、認知症予防につながる可能性
・リンパ球機能活性化や直接的にがん細胞の増殖を抑制する
・コラーゲン生成を促し、皮膚の老化を防ぐ
・炎症性ホルモンの産生を抑制することで、免疫のバランスを取り戻す
糖尿病、動脈硬化、認知症、骨粗しょう症などの予防効果や皮膚老化予防の可能性など、良いことずくめです。そして、これらは積極的に運動することで分泌が促されることがわかっています。一方で、加齢や活動量低下に伴い分泌されるものもあり、これらは筋肉や骨をやせさせる負の作用があることが分かっています。
これまで多くの方と接する中で、運動不足は共通の問題だと思っています。
運動は、好きな人が行う趣味、という認識は過去のものになってきています。
食や睡眠とともに生活上の欠かせない要素と言ってもよいと思います。
是非来年こそ、ほんの少しでもよいので、運動習慣を身に着けてほしいと思います。
来年2026年も引き続きよろしくお願いいたします。
参照URL
J Sport Health Sci. 2024 Nov;13(6):764-779.
Endocr Rev. 2020 Aug 1;41(4):594-609.
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Biomolecules. 2024 Sep 25;14(10):1205.
Endocrinol Diabetes Metab. 2025 Nov;8(6):e70097.
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院長 西原崇創