今注目!のリポタンパク(a)とは?残余リスクという言葉をご存じですか?

動脈硬化に関連するコレステロールについてはLDLやHDLなど、健診で馴染みのものから、最近ではnon-HDLやsd-LDLなども評価されるようになってきています。
ところで、コレステロール値を内服薬(スタチンなど)で十分に低下させても動脈硬化が短期間で明らかに進行したり、脳卒中や心筋梗塞症を十分に予防できない、ということがあります。脂質異常症や糖尿病といった生活習慣病がしっかり管理されている状況でも病気が再燃、再発するときに既存の要素と別のメカニズムが働いていることがこれまで示唆されてきました。このことを『残余リスク』と言います。
今回お伝えするリポタンパク(a)は、その残余リスクとされるものの一つとされています。
LDLの構成成分であるアポタンパクB100にアポタンパク(a)というタンパク質が結合したものがリポタンパク(a)です。いわゆる悪玉コレステロール(LDL)とは明確に異なる物質で、60年程度前に発見されました。脳卒中、心筋梗塞、大動脈弁狭窄症など、様々な動脈硬化性疾患(ASCVD: Atherosclerotic Cardiovascular Disease)の発症と関連があるとされています。遺伝的に規定されており、血中濃度は生涯変わらないとされています。リポタンパク(a)がもたらす影響は以下になります。
動脈硬化:悪玉コレステロールと同じように動脈壁に取り込まれ、動脈硬化の原因になる
心臓弁膜症:血管壁の炎症や大動脈弁の石灰化をもたらす
血栓症:線溶系(血液をサラサラにする作用)を抑制し、血栓形成しやすくする
民族的な偏りもあるとされ、アフリカ系、南アジア系では高値を示す割合が高いとされています。我々日本人では問題になるケースはそれほど多くないとされていますが、心筋梗塞を始めとする動脈硬化性疾患の予防をより強化する、という観点から一生に一度は測定すべきと考えられるようになりました。これまでもリポタンパク(a)を測定することは可能でしたが、検査法でのばらつきなどもあり、実際の診療へ反映させることがなかなか難しいということがありました。最近になり、検査法でのばらつきを補正するツールも使えるようになり、客観的な評価が可能になっています。

やっかいなことに、食事や運動療法ではほとんど影響を受けないとされ、図にあるとおり、リポタンパク(a)の濃度により、治療戦略を考慮すべきとされています。特に高リスク例では脂質異常症や高血圧症などの既存リスクに対し積極的に生活指導を行い、薬物介入を検討すべきとされています。リポタンパク(a)自体を特異的に低下させる薬剤が開発検討中ですが、その予防効果が証明され、実際に使われるようになるのはもう少し先になりそうです。
参考URL
Lipoprotein(a) in Japan: An Expert Consensus Statement