2022年07月11日 からだの情報

食後の運動が血糖を下げるというのは本当なのでしょうか?

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肥満と糖尿病、この二つは現代人がかかえる大きな悩みの種と言えるでしょう。そして、生活習慣病の延長線上にあるこの二つの問題は、その成因や解決法もかなり似通っています。
つい先日、受診された方から食後の運動はよいのか?という質問を受けました。それについてお答えしたいと思います。

高血糖が悪いということは誰もが認める常識だと思います。実は単に高血糖だけが悪いのではありません。インスリンは主に食後血糖を下げるために膵臓から分泌されるホルモンですが、この食後の高インスリン血症は非常にやっかいで、倦怠感や眠気などの原因にもなります。それだけならよいのですが、インスリン分泌は筋肉の合成を妨げるという負の側面も有しています。

もう少し、細かく見ていきましょう。経口摂取された糖質(ブドウ糖)はどこに取り込まれ処理されると思われますか?脳?心臓?腎臓でしょうか? 実は約8割が筋肉に取り込まれるのです。ですので、摂取されたエネルギーに対して、最大の受け皿である筋肉が適切でないと余剰分ができることになります。そして、高血糖が持続し、処理できない余剰分は脂肪組織に取り込まれ肥満の原因になる・・・単純化するとこんなシナリオです。

まさに風が吹けば桶屋が儲かるのような話ですが、人体ではこのような複雑な機構が常に働き、適切にバランスを保とうと日々頑張ってくれています。高血糖はインスリンの大量分泌を招き、高インスリン血症は糖質の最大の受け皿である筋肉合成を妨げ、さらに血糖コントロールが難しくなっていきます。このことを“インスリン抵抗性”といいますが、筋肉という大きな組織がいかに重要かということがお分かりいただけると思います。

食後、運動することで筋肉の血流が増え、インスリン感受性が改善されます。そして、より糖質が筋肉に取り込まれやすい状況を作り出します。食後の運動が血糖を下げるということは過去多くの検討がされており、間違いない事実です。

ただ、そうは言っても食後の運動は忙しい日常ではなかなか難しいと思います。家に帰って15分から30分程度の短い時間でもよいので、周囲の散歩くらいから始めてはいかがでしょうか?

筋肉は糖質を処理する最大にして最も重要な臓器です。脳や心臓は鍛えたり積極的に改善することは難しいですが、筋肉は何歳になってからでも可能です。
筋肉を鍛える運動はどんな薬よりも優れた最高の処方箋と言えるのではないでしょうか?

中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創

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