心機能による心不全分類について
前回は心不全が疑われた場合に行う検査についてでした。その中で動きを評価する心臓超音波検査(心エコー)は非常に重要な位置づけになっており、その点について解説したいと思います。
心不全というと一般の方のイメージは『動きが悪い』『弱っている』そんな感じではないでしょうか?確かに動きが悪い心不全は最も一般的ですが、実際には一見、動きが悪くない心不全も約半数程度あり、その経過(予後)も動きが悪い心不全とあまり変わらないことが知られています。
ですので、まず行うべきは『動きの悪さで分類する』ということになります。
動きの悪さは主に左心室の収縮力(EF:Ejection Fraction)によって、以下のように分類されます。
HFpEF(Heart Failure preserved EF):EFが50%以上
HFmrEF(Heart Failure midrange EF):EFが40~50%未満
HFrEF(Heart Failure reduced EF):EFが40%未満
他にも心機能が改善した場合、変化を認めない場合など、細かな分類もあります。
これらEFによる分類を参考に薬物療法が検討されるようになります。まずはこのEFによる動きの悪さを分類することが治療のファーストステップということになります。
参考文献
2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
2017年改訂版 JCS/JHFS 急性・慢性心不全診療ガイライン
2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure
2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創