脳が気持ちよく働くことができる環境を整えましょう!
最近、アルツハイマー型認知症の治療薬(レカネマブ)が注目されています。特にこの薬剤は日本の製薬会社(エーザイ)が開発したものですし、今後の認知症治療を大きく変えるものと全世界で期待されています。ただ、この薬剤はすでにアルツハイマー型認知症と診断された方の認知機能低下を抑えるというものであり、根本的に病気を予防する、もしくは治癒させるというものではない、ということはしっかり認識しておく必要があると思います。
認知症は年齢を経るとともに誰もがなりうる病気です。今のところ劇的な予防効果を示すような治療法は見つかっていませんが、ヒントになりそうな研究結果が先日論文化されました。米国で57773人の高血圧患者を対象に降圧薬がどの程度認知症予防に寄与する可能性があるかが、検討されました。平均6.9年経過観察され、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬を内服している場合、内服していない場合と比較しアルツハイマー型認知症の発症率が16%減り、脳血管性認知症は18%減少させるというものでした。
運動や良質な睡眠などの生活習慣の是正、高血圧などの生活習慣病の管理は地味ではありますが、脳の安静と活性化を促し、認知症予防に重要とされています。その中で患者さんの状態に合わせた適切な内服管理がより重要視される可能性があります。
脳トレだけではなく、脳が気持ちよく働くことができる環境を整えてあげることも重要ですので、少し視点を変えて自身の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか?
参考文献
N Engl J Med. 2023 Jan 5;388(1):9-21.
JAMA Network Open. 2023; 6(1): e2249370.
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創