2026年03月15日 からだの情報

うわさの減量薬の効果は夢か現か幻か?

世間で話題の『あの』お薬について聞いたことがある方はとても多いと思います。しっかりとした減量効果で注目されているGLP-1受容体作動薬です。チルゼパチド(商品名:マンジャロ/ゼップバウンド)やセマグルチド(商品名:オゼンピック/ウゴービ)が正式な薬剤名で、糖尿病治療薬としても世界で広く使われています。

少しだけ細かな情報をお伝えします。GLPという物質は血糖値上昇とともに小腸から分泌され、インスリン分泌を促し、血糖値を低下させます。このGLPの作用点である受容体に結合し、インスリン分泌を促すものがGLP-1受容体作動薬です。この薬剤の特筆すべき点は糖尿病の改善のみならず、心血管病をある程度予防できる可能性が研究・論文データで証明されており、多くの内科医から注目されています。

一方、それとは別に中枢神経系に作用し、食欲を抑え、一部薬剤(チルゼパチド)では脂肪分解を促進する作用があり、減量効果を有することが確認されてきました。投与量にもよりますが、過去の研究からおおよそ1年半で約15~20%程度の減量効果が認められています。

この減量効果に注目し、肥満症に対する治療薬として本邦でも保険適応になりました。肥満症とは体重増加にともない、高血圧症などの生活習慣病、肝機能障害や睡眠時無呼吸症、腰や膝関節の病気があり、内臓脂肪の蓄積を伴った場合を言います。このように今では、肥満の一部は疾患として治療するということが世界的な流れになってきています。

そんな夢のような薬ですが、目標まで減量できた場合、もしくは様々な疾患が改善した場合、当然中止を考慮します。しかし、これまでの説明の中で素朴なギモンを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。

中止後、薬効は残るのでしょうか?
残るとすれば、どの程度の期間期待できるのでしょうか?

このギモンについて複数の有名医学誌から論文が発表されています。最新の論文では、過去の研究を統合解析し、薬剤中止後にどのような転機をたどるかを検討しています。結論は薬剤中止後、減量後の体重は維持されることなく、おおよそ1年半で元に戻るというものでした。また、これに伴い血圧値、糖尿病の状態、脂質なども戻る可能性が指摘されています。つまり、確かに薬剤としての減量効果はあるが、そのまま維持されるのではなく、何もしなければかなり速いスピードで元に戻ってしまうということです。

減量し、様々なパラメーターが改善しているうちに自身の生活習慣を適切に是正しなければせっかくの減量がうたかたの夢になってしまう、そんなことかもしれません。

さて、それでもあなたは、この薬で減量を目指しますか?

参考URL
BMJ. 2026 Jan 7:392:e085304.

JAMA Intern Med. 2026 Feb 1;186(2):157-167.

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