バターは美味しいけど、ほどほどに

バターやマーガリンが健康に好ましくないことはすでにご存じと思います。そこに含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸はLDLコレステロールを上げ、動脈硬化を進めます。それ以外にも発がんリスクを高め、統計的には死亡率も上昇するとされています。そんなバターですが、22万人規模の研究で、摂取量が多いと、少ない場合に比べ死亡リスクが約15%程度高いことが示され、その反面、毎日10グラムのバターを植物油に変えることで全死亡が約17%程度減ることが示されました。バターなどの飽和脂肪酸と異なり、植物由来の油には不飽和脂肪酸が豊富に含まれます。これらはコレステロールを下げ、発がんや動脈硬化など種々の疾患のプロセスに働く炎症を抑えるとされています。また、脂質は細胞やホルモンなどの重要な構成成分であり、良質な脂質を適正に摂ることはとても大切なことです。
でも、バターを使った料理は豊かなコクや味わいがあり、美味しいですよね。ですので、バターを目の敵にするような扱いは食文化という観点で好ましくないと思っています。普段はバターを減らし、オリーブオイルなどを使う、外食するときはそこでの食事を存分に楽しむ。何でもそうですが、メリハリがとても大切だと思います。特に食事は健康のためだけではありません。美味しいものは心を豊かにしてくれます。だからこそ、メリハリを意識した食生活を心がけたいですね。
参考URL
JAMA Intern Med. 2025 Mar 6:e250205.
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創