塩分制限は劇的に血圧を下げる!
前回のからだの情報は塩分摂取量と血圧上昇の関係についてでした。今回は最近発表された論文を解説しながら、減塩の効果についてお伝えしたいと思います。
塩分摂取と血圧の関係は一般の方もご存じだと思います。特に日本人は欧米人に比べ塩分摂取量が多く、今でも10~11g/日程度摂っているとされています。では、この塩分を減らすと本当に血圧が下がるのでしょうか?以前からこの疑問に答える研究は多数ありましたが、最近になり驚くべき効果が発表されました。
普段の食事に加え、ナトリウム2200mg/日摂取する群(積極摂取)とナトリウム500mg/日摂取群(摂取制限)に分け、その後の血圧値の推移を比較すると、ナトリウム500mg/日の摂取制限群ではたった1週間で収縮期血圧が8mmHgも下がるというものでした。8mmHgというと一般的な降圧薬と同等の効果であり、短期的な降圧効果が証明されました。さらに注目すべきは摂取制限群の人たちを積極摂取群と同等の塩分摂取量にすると、やはり1週間程度で血圧値の上昇が認められました。
このように塩分摂取制限は短期的にも効果があることが証明されたのですが、ナトリウム2200mgは塩分換算で5.59g、500mgは1.27gですから短期的な効果を示すためにはかなり厳しい塩分制限が必要になることが分かります。ただ、過去や今回ご紹介した報告を踏まえると、自身でできる食事制限、自分の中で食事のルールを作り、過剰な塩分摂取を控えることは長い目で見た場合、メリットは十分にあると思います。
参考文献
JAMA. 2023 Dec 19;330(23):2258-2266.
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創