心不全の臨床経過からわかること
心不全の定義、その病期(ステージ)などから分かることを解説してきました。
https://nakameguro-cl.com/news/heartfailure/
https://nakameguro-cl.com/news/heartfailure-2/
今回は、心不全の典型的な臨床経過からわかることをお伝えしたいと思います。特に心不全と診断され、症状のあるステージCからDについて注目したいと思います。
心不全は進行性の病態で、図に示すとおり、多くは急性心不全や肺炎合併などの入院加療を機に病状が悪化していきます。ここで重要なことは、いったんステージCになると病状が改善、回復することなく徐々に悪化するということです。このことはとても重要で、まずステージCに至らないようにすること、心筋梗塞や心筋症などではしっかりとした投薬や管理が大切になります。
徐々に病状は悪化していきますが、適切な薬物療法や自己管理などを行えば、個人差はありますが心不全悪化のスピードを抑えることが可能です。その際に私どもが行う病状に合わせた薬物療法、特異的治療、客観的評価は当然ですが、患者さんやそのご家族が行う自己管理は車の両輪とも言える要素になります。日々の血圧や体重測定などに始まり、適切な栄養や運動はいかなる薬にも勝るとも劣らないものです。心不全症状をコントロールし、入院を防ぎ、いかに充実した時間を過ごしていただけるようにするかが目標になります。
参考文献
2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
2017年改訂版 JCS/JHFS 急性・慢性心不全診療ガイライン
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創