2025年09月05日 からだの情報

高血圧管理・治療ガイドラインが改定されました

高血圧は国民病と言っても良いくらいコモンな病気です。日本では4300万人程度はいるとされ、そのうち7割程度は適切な管理・介入がなされていないとされています。ただ、外来で高血圧の話をすると『製薬会社の宣伝ではないか?』とか『血圧が高いと調子が良い』とか『血圧を下げると認知症になりやすい』など、ネガティブな印象や明らかに間違った情報を信じていらっしゃる方も少なからずいます。実は、かなり以前から理想血圧は120/80未満とされ、過去多くの疫学研究で120/80を超えると脳卒中や心不全、冠動脈疾患や認知症のリスクが増すということが分かっています。ですので、製薬会社の宣伝云々ではなく、客観的事実として皆さんが想像するよりも血圧値はかなり低い方が良いとされているのです。

そんな中で、高血圧管理・治療ガイドライン2025が改定されました。前回までのガイドラインでは患者背景によりかなり細かく管理基準が設定されていました。しかし、血圧値は常に一定ではありませんし、背景も流動的なものであり、また実際に診療する実地医家には分かりにくいなどの意見もあったため、一律130/80未満に変更されました。これが、今回の変更点では最も大きいポイントだと思います。ただ、例えば高齢者の場合、降圧によるふらつきや倦怠感、起立性低血圧などは実際に診る立場からすると無視できない頻度で遭遇するため、かなり慎重に血圧管理を行っていると思います。この点については個別性を踏まえ柔軟に対応することが明記されており、数字の独り歩きではなく、患者さんとの関係の中で考えていく必要があると思います。

また、降圧薬による薬物介入をできるだけ早く(一か月以内)行うように推奨が変更されました。実際に診療をしていると、そもそも高血圧についての十分な理解がないことも多く、単に降圧薬開始を急ぐことが本当に良いのか?は正直ギモンです。私個人のスタンスとしては、しっかり病気を理解いただき、生活習慣の是正など、自身でできることを明確にし、そのうえで必要に応じ薬を開始するようにしています。大切なことは自身の問題であるという意識をしっかり持ってもらうことで、このことが長期的に保証された管理に繋がるのではと思っています。

参考URL
https://www.jpnsh.jp/guideline.html

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