意外と知らない高血圧とアルコールの関係
高血圧と言えば、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足などを真っ先に思い浮かべます。確かに、塩分摂取過剰は原因として重要ですし、肥満はメタボリックシンドロームや無呼吸症とも関連があるため誰しも思い浮かびやすいと思います。その中で高血圧の方と話していて皆さんが異口同音に意外と思われるのがアルコールと高血圧の関係です。アルコールって肝臓を悪くしたり、肥満の原因になることは分かっていても高血圧の原因になることはあまり知られていません。
実はかなり以前からアルコール摂取と高血圧には密接な関係があることが分かっていました。飲酒は短期的には血圧を下げますが、その後上昇することが分かっており、それが長期的には高血圧発症に関連しているとされています。また、睡眠の質を下げたり、無呼吸症を悪化させることも原因と考えられています。
では、アルコール摂取量はどの程度から問題になるのでしょうか?最近報告された論文ではアルコール12g/日以上から徐々に高血圧発症のリスクが高まることが分かりました。アルコール12gというと、日本酒1合で20g、標準的なビール350mlで14gくらいですから、ビール1日1缶程度で徐々に高血圧になりやすくなると言えます。
医学的には飲酒に関してあまりポジティブな効果はありませんが、気分転換や会食の場がなごむなど、いろいろな良い点もあるように思います。なんとなく習慣で飲んでいるのであれば、休肝日を設けるなどメリハリを加え、楽しいお酒をより長く楽しむためにその習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
引用文献
Hypertension. 2024 Jun 12. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.124.22703.
参考URL
https://nakameguro-cl.com/news/osakehadonokurai/
https://nakameguro-cl.com/news/enbunseigenn/
https://nakameguro-cl.com/news/enbunseigen/
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創