意外と知られていない慢性腎臓病
6月から自治体主導の特定健診(特定健康診査)が始まっています。健診というとメタボ健診、高血圧などがすぐに思い浮かびますが、意外と知られていないのが、腎臓病です。
腎臓は腹部に2つある臓器で、心臓が送り出す約20%の血液を受け取り、水分や老廃物をろ過し、尿中に排出する機能があります。腎機能が悪くなると、浮腫などの原因になるだけではなく、最終的には人工透析に至る場合があります。最近になり、心臓病との関連も言われ、心腎連関(Cardio-Renal syndrome)という言葉もあるくらい腎臓と心臓(血管)の関係は大事と言われるようになりました。
腎臓病は成人の8人に1人くらいに認めるとされ、その主な原因は糖尿病、高血圧、腎炎とされています。実際に私ども一般臨床医が診る機会が多いのは圧倒的に糖尿病や高血圧関連で、このことから生活習慣病に密接に関係していることが分かります。
健診では腎臓の状態を評価するのに、大きく2つの指標を用いています。
・クレアチニン
血液検査の一項目で、年齢、性別、体重から腎臓が1分間に何ml血液をろ過しているの
か?(eGFRといいます)を推測(計算)することが可能です。このeGFRにより腎機能
は6段階に分けられています。
・尿検査
尿タンパクは直接的に腎機能障害を反映している可能性があります。
通常、尿にタンパクが漏れ出ることはありません。
ただ、クレアチニンは食事や摂取しているサプリ、体重、筋肉量などに影響を受けるため、より細かい検査(シスタチンCの測定など)を行う必要があることもありますし、尿タンパクが陰性であったとしても、特に糖尿病では微量アルブミンというたんぱく質の一種が漏れ出ている場合もあります。微量アルブミンが尿中に認められる場合、腎機能悪化や動脈硬化が急速に進むとされ、厳重に経過を見ていく必要があります。
厚労省や東京都が積極的に慢性腎臓病について啓発活動を行っています。
下記リンクも是非、ご参考にされてください。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shippei/ckd/
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創