2022年12月19日 診療内容について

片頭痛の注射予防薬を当院でもお受けいただけます

頭痛は皆さんを悩ます非常に一般的な症状ですが、二日酔いなどのときに起きるまったく無害なものからクモ膜下出血のような生命にかかわる頭痛まで様々です。頭痛は第三者がその程度を理解することができないため、頭痛持ちの方は自身で抱え込み悩んでいる方も多いと思います。実際、頭痛が生活に与える影響は様々あり、仕事や睡眠に影響が出ることも多いとされています。

まず、頭痛を簡単に解説したいと思います。
片頭痛を始めとする慢性的な頭痛にフォーカスをあてて解説していきます。

頻繁に自覚する頭痛は大きく分けて、3つに分かれます。
✓片頭痛
✓緊張型頭痛
✓群発頭痛(三叉神経・自律神経性頭痛)

頭痛は診察の際に症状を詳しく伺うことで診断されます。
以下に各頭痛のポイントをお伝えします。

✓片頭痛
・予兆*を頭痛発作の数日から数時間前に自覚することがある。
・多くの場合、片側のこめかみに脈を打つような痛みを自覚する(ズキンズキン)
・頭痛は数時間から3日間程度持続する
・発作は月数回から週に複数回見られる
・吐き気などの気分不快を認めることがある
・光、音、においに敏感になる
・ストレス、疲労、不眠、月経、天候の変化などが頭痛の誘因になる
・女性に多い
*予兆:あくび、食欲低下、倦怠感など

✓緊張型頭痛
・疲労やストレス、パソコンを長時間使うなどの姿勢異常が原因になる
・頸部および背部の筋肉の過度の緊張が誘因になる
・頭の両側に鈍い締め付け感や圧迫感を自覚する
・持続的に鈍い痛みを自覚する(ズーン)
・午後になると疼痛がひどくなることがある

✓群発頭痛
・アルコール摂取で頭痛が誘発される
・頭痛発作が起きる時期(群発期)が数週間から数か月ある
・頭痛発作を認めない時期(寛解期)が数か月から数年間ある
・群発期と寛解期を繰り返す
・片側の目の奥に15分から180分程度持続する頭痛を認める
・涙が流れたり、鼻がつまったり、目が充血したりすることがある
・男性に多い

片頭痛治療はトリプタン系薬剤の登場以来、画期的な進歩はありませんでした。
従来使っていた予防薬も決して十分と言える状況ではなかったと思います。
その中で最近になり、発作予防効果の高い注射薬が使えるようになりました。

抗CGRP製剤について
片頭痛の原因の一つとして注目されているCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は三叉神経から放出され、血管周囲の炎症や拡張、それにともなう神経の興奮を促し、特徴的な『ズキンズキン』する頭痛をもたらすとされています。このCGRPそのものの効果を抑える(抗体)、もしくはCGRPが働く作用点(受容体)をブロックすることで片頭痛発作を効果的に予防することができるようになりました。

現在、皆様に使える注射剤は以下の3剤になります。
ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤
・アジョビ(フレマネズマブ 大塚製薬)
・エムガルディ(ガルカネズマブ 第一三共)
ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤
・アイモビーグ(エレヌマブ アムジェン)

✓適応について
・片頭痛患者である
・頭痛発作が月に複数回(月に4回)以上ある
・非薬物療法や急性期治療を行っても日常生活に支障がある
以上を満たす場合、適応を考慮します。

✓効果について
3剤とも海外を中心に様々な臨床試験が行われ、その効果が実証されています。
例えば、アジョビ(フレマネズマブ)では片頭痛患者50例を対象にその効果が検討され、
12か月後の頭痛日数は4週間おきの注射で-4.3日とその効果が証明されました。

✓注射の頻度と方法
いずれも皮下注射になります。
アジョビ
4週間に1度の頻度で注射を行うか、12週間おきに3本注射を行います

エムガルディ
初回2本皮下注射を行い、その後1月おきに注射を継続します

アイモビーグ
4週間に1度の頻度で皮下注射を継続します

在宅での自己注射も可能ですので、受診にかかわるストレスも軽減することが可能です。

✓副作用について
いずれの製剤も皮下注射ですので、注射部位反応(疼痛、硬結、発赤など)が比較的高頻度(~20%弱程度)に認められます。きわめて稀ですが、重篤なアレルギー反応を認めることがありますので、初回は注射後15分程度ご様子を拝見させていただきます。

 

唯一の難点は、保険適応ではありますが、高額である点です。医療費控除や高額療養費制度、付加給付制度など、医療費軽減の方法がありますので、ご加入の医療保険窓口や健康保険組合に問い合わせされることをお勧めします。

参考文献
Lancet. 2021 Apr 17;397(10283):1485-1495.
Lancet. 2021 Apr 17;397(10283):1496-1504.
Lancet. 2021 Apr 17;397(10283):1505-1518.
Headache. 2020 Jul;60(7):1351-1364.
Drug Saf. 2021 Dec;44(12):1355-1364.

頭痛に関しての情報サイト
頭痛の悩み.jp https://zutsuu-nayami.jp/

中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創

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