肥満と心房細動の関係
肥満と心房細動は非常に強い関係があります。一般に肥満は心房細動の発症を1.5~2.0倍程度増加させることが知られています。また、体重増加と心房細動発症は線形関係にあり、BMIが1増すごとに発症リスクが4~8%程度増加するとされています。
ご存じのとおり、肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、無呼吸症などの原因になります。そして、そのそれぞれが心房細動の原因にもなりえます。肥満そのものも直接的に全身的(局所にも)な炎症に関与し、心筋の線維化を促進するとされています。このような変化は心房細動が発症しやすい素地(心筋リモデリング)を生み出し、不可逆な変化へと至ります。
減量と心房細動の関係は過去様々な形で検討されてきました。適正体重を保つことで、心房細動全体の有病率を18%程度減らすことができるとさえ言われています。仮に心房細動を発症しても、減量することでその発作頻度や症状を軽減させることや根治治療であるカテーテルアブレーションを受けた後でも体重を含めた体調管理を厳格にすることで、その後の再発頻度を減らせることが証明されています。
心房細動そのものに対する介入には限界があります。
修飾因子である生活習慣の改善や減量は非常に効果的ですので、心房細動と診断された方は是非、ライフスタイルの見直しをご検討ください。
BMI:Body Mass Index [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値。
18.5~25程度が適正とされています。
参考文献
Am Heart J 2008; 155: 310–5.
JAMA 2004; 292: 2471–7.
Eur Heart J 2016; 37: 1565-1572.
Circulation 2006; 114: 119–25.
JAMA 2013; 310: 2050–60.
J Am Coll Cardiol 2014; 64: 2222–31.
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創