心血管病の予防に無呼吸症の治療は有効か?
睡眠は一日の三分の一を占めているとても重要な時間です。この時季は夜も涼しくなり、ぐっすりと眠れる日も増えてきました。睡眠は肉体的、精神的な疲労を回復させるために非常に重要ですが、その重要性は意外と十分に認識されていないように思われます。
睡眠に関する問題の中で無呼吸症は昼間の眠気だけではなく、様々な疾患の原因になりうるのでしっかりとした治療が必要になります。以前にからだの情報でいびきや無呼吸症について書いておりますので、ご参考にされて下さい。
今回ご紹介するのは、すでに心臓病を患っていたり、高血圧などがある患者さんに無呼吸症のCPAP治療が役に立つのか?といったことを調べた研究です。過去の様々な検討を解析したメタ解析という手法で検討されています。単にCPAP治療を受けているというだけでは治療を受けていない人と比べてもそれほど効果はありませんでしたが、4時間以上定期的にCPAP治療を行っている場合、約30%程度心血管病の予防効果があるというものでした。
実はこの4時間というのは過去様々な検討がなされ、治療効果を評価する上で重要な時間になっています。毎晩就眠時に装着し、最低4時間マスクを着け寝る。この習慣で30%も病気が予防できるなら、睡眠の質も改善しますし、良いことずくめですよね。
参考URLおよび文献
JAMA. 2023;330(13):1255-1265.
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創