“いわゆる”コレステロールとコレステロールの違い
健診結果を見て、総コレステロールやLDL、中性脂肪の数値が高いととても気になります。テレビやネット、雑誌を見ると栄養機能食品の宣伝やコレステロールに注意しましょうといったことを聞かない日はないと思います。
一般の方が認識するコレステロールと我々医療者が言っているコレステロールとは違う、ということをどの程度の方がご存じでしょうか?LDL(いわゆる悪玉)が高いと動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中の原因になります。ですので、コレステロールを下げるような薬や食事の工夫、生活習慣の改善などが必要になります。世間ではコレステロールゼロの食用油なども売られているので、これを使えばコレステロール値が下がりそうな気がします。
LDLやHDLはコレステロールや中性脂肪、リン脂質、アポタンパクなどによって構成された複合体です。医療者が言っているコレステロール(LDLなど)は主に肝臓で産生されるもので、食べ物から摂取されるコレステロールとは全く異なるものということになります。ですので、お分かりのとおり、食事中のコレステロール摂取量を減らせば血液中のコレステロール値が改善するかと言われればそうではありません。もちろん無駄ではありませんが、血液中のコレステロール値を改善するためにはもっと地味な努力が必要になります。
図は、American College of Cardiology(米国心臓病学会)が一般の方向けに作ったコレステロール改善啓発のためのポスターですが、その中でwhat you can do(皆さんにできること)として、定期的な運動、減量、そして健康的な食事が挙げられています。運動は直接的にエネルギー消費を増やしますので、いかにもコレステロールは下がりそうです。有酸素運動を行うとコレステロール産生が抑制されるので、運動は間違いなく良いと言えるでしょう。減量はご想像のとおりです。
では、食事についてはどうでしょうか?
何を食べればよいでしょうか?
どのような工夫で改善可能でしょうか?
次からは健康に寄与する食事について考えてみたいと思います。
American College of Cardiology(米国心臓病学会)関連HP
https://www.cardiosmart.org/
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創