コーヒーをいつまでも楽しめるように・・・。
これまでコーヒーのプラスの作用とその可能性についてお知らせしてきました。
ただ、そうはいっても摂りすぎは良くありません。
ここでは特によく検討されているカフェインについてまとめておきたいと思います。
“カフェイン中毒”、かなり独り歩きした言葉ですが、ここではその意味についてお伝えしたいと思います。カフェインのデメリットを急性中毒とそれ以外に分けてみたいと思います。
急性中毒
一般成人であれば、カフェイン400mg程度までは摂取量として問題ないとされています。
スモールサイズ1杯で平均100mg程度ですから、一日数杯までは大丈夫でしょう。ただ、個々人の体格や体質にもよりますので、特に小児や高齢者ではごく少量にとどめておくほうが無難と考えられます。(小児にはできるだけ摂取させないようにしてください)
急性中毒は不安感(気持ちが落ち着かない感じ)や手の震え、動悸などが自覚されます。重篤な場合、低カリウム血症、低血糖、低血圧、痙攣、代謝性アシドーシスなどの原因になりえます。短期間に大量摂取(10~20g)しなければ命にかかわるようなことは稀ですが、カフェイン中毒で亡くなる可能性はゼロではありません。(報告はあります)
その他、注意すべき点をいくつかお知らせします。
✓高血圧
量にもよりますが、一時的に血圧が上昇する可能性があります。
✓不整脈
期外収縮や心房細動などを生じやすくなります。
否定的な報告もあるので、個人差が大きいと思われます。
コーヒーが大好きで動悸がある方は注意が必要です。
✓不眠症
カフェインの睡眠への影響は科学的にも証明されています。就眠前6時間以内はコーヒーを飲まない方が無難と思われます。睡眠中の下肢の不規則な運動(レストレスレッグ症候群)にも影響しているとされています。
また、コーヒーをよく飲む人に起床時の眠気を訴える方がいます。夜間カフェインが摂取できないことによる影響が示唆されています。(スリープサンドイッチ現象)
✓利尿作用
糸球体濾過率の上昇や尿細管への作用により、尿量が増すとされています。
✓胸やけの原因
食道下部括約筋機能を抑制し、胃酸が食道へ逆流しやすくする可能性があるようです。逆流性食道炎やバレット食道を悪化させる可能性があります。
✓いわゆるカフェイン中毒
摂取後のドーパミンの反応が中毒性に関係しているとされています。不安感や動悸、手の震え、不眠など症状は多彩です。定期的にカフェインを摂取した場合、数日程度経過すると徐々に依存性が出てくるとされています。
✓頭痛
頭痛持ちの方はコーヒーを飲みすぎではないか?をチェックしたほうがよさそうです。
✓ミネラルの喪失
カルシウムやマグネシウムの尿中への排出が増すとされています。長期的な骨などへの影響はわかっていません。
✓鉄吸収阻害
カフェインそのものではないですが、コーヒーに含まれる成分で鉄吸収を阻害する物質(フェノール系化合物)があります。若年女性では鉄欠乏性貧血の傾向がある人もいますから、食事前後1時間はコーヒーを飲むことを控えた方が無難かもしれません。
鉄剤をコーヒーで飲む、なんてことは絶対に避けてください。
コーヒーにはメリットもありそうですが、デメリットもあります。
飲みすぎに注意して、美味しいコーヒーをいつまでも楽しみたいですね。
参考文献
Crit Rev Food Sci Nutr. 2021 Aug 28;1-24.
Food Chem Toxicol. 2017 Nov;109(Pt 1):585-648.
Risk Manag Healthc Policy. 2018 Dec 7;11:263-271.
Nutrients. 2020 Dec 29;13(1):88.
J Am Coll Cardiol. 2013 Sep 17;62(12):1043-1051.
Biomed Res Int. 2020 Jul 24;2020:7909703.
今日、ご紹介するお店は、
OPEN NAKAMEGURO
https://open-nakameguro.com/
駒沢通り沿いに面し、区役所の隣にあります。名前のとおり、とても広い店内にテラス席もあり開放的な空間です。本を読んだり、PC片手に仕事をしたりするにはとても良いと思います。アイスコーヒーをいただきましたが、酸味が口の中をさっぱりしてくれ、暑い日にはちょうどよさそうです。
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創