心不全が疑われた場合に行われる検査
息切れやむくみ、健診で心電図異常を指摘されたなど、心不全が疑われた場合、心臓専門である循環器内科ではどのような検査が行われるのでしょうか?
心電図:心房細動などの不整脈の有無、左室肥大や異常Q波など、原因となる心疾患の推測やその後の薬物治療の参考にします。
血液検査:貧血の有無、肝機能や腎機能の評価、甲状腺機能など合併する併存疾患の有無やその程度を評価します。また、心不全を診断する上でBNPやNT-proBNPは極めて重要で、BNP≧35pg/mLもしくはNT-proBNP≧125pg/mLでは心不全の可能性を念頭に精査を進める必要があります。
心臓超音波検査:心不全診断における最も重要な検査といっても過言ではありません。心臓の大きさやその動きなど一般的評価、心筋症や虚血性心疾患などの原因疾患の推測、心筋や弁などの個々の構造物の機能評価などを行うことが可能です。薬物治療後の評価にも頻繁に用いられます。
胸部エックス線:息切れなどの症状が肺に起因しないかどうか、また心不全に基づく所見がないかどうかなどをチェックします。
このように様々な角度から評価していきます。どの検査も定期的に評価することが重要で、症状などの主体的評価とこのような客観的評価の双方を行い、適切に診断・治療が行われているのかをしっかり診ていく必要があります。
次回は心機能から心不全をおおざっぱに分ける意義・意味について考えてみたいと思います。
参考文献
2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創