理想的な血圧値ってご存じですか?
いわゆる『生活習慣病』の中で、高血圧ほど皆さんにピンとこない病気はないと思います。血圧値が多少高くても症状は全くありませんし、実際目に見えて問題が出ることもすぐにはありません。
皆さんの血管を水道管だと想像してみてください。高血圧は常にその水道管に水が限界まで流れている状態になりますが、常に限界まで使っている水道管がその後どうなるか?は想像にたやすいと思います。それが血管であれば、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気になるわけです。
そんな高血圧ですが、日本の高血圧患者は4300万人以上とされ、その中で3000万人以上は管理が不十分と言われています。国民の収縮期血圧の平均を10年間で4mmHg下げただけで脳卒中死亡が年間で約1万人、冠動脈疾患死亡数が年間5千人程度減少すると推測されています。
ところで、皆さんは望ましい血圧値というのをご存じでしょうか?
脳卒中や心疾患の危険性という観点からいくと、120/80mmHg未満が最もその危険性が低く理想的であるということが分かっています。120/80mmHgを底辺とし血圧上昇とともに脳心血管死亡危険度が上昇することが分かっています。(図1)
その目で血圧値の分類をご覧になってみてください。(図2)実は現在の血圧値分類では120/80mmHg以上はすでに『血圧が高め』ということになっています。世間では140/90mmHg未満なら大丈夫と言われる向きもありますが、血圧高めから自身の生活習慣の見直しを始めれば、将来クスリを飲む必要がなくなるかもしれません。
本物の病気になる前にわずかずつでよいので、生活習慣の見直しをされてみてはいかがでしょうか?
参考文献
高血圧治療ガイドライン2019 日本高血圧学会編
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創