Apple Watchの心房細動通知機能について
最近では町を歩く多くの方がスマートウォッチをしています。心拍や酸素飽和度、心電図などが測れるようになり、今後は体温や血糖などが測れるようになるかもしれないと言われています。
最近のスマートウォッチの中で最も画期的と言える機能は心拍解析と心電図記録と言えるでしょう。特に、アップルウオッチでは、最低65分以上の時間をかけて5回の心拍リズムのチェックを行い、不規則な心拍リズムが検出されるとユーザーに通知するという機能を備えています。不規則なリズムで最も問題になるのは心房細動(https://nakameguro-cl.com/news/atrialfibrillation/)です。
Apple Heart Studyはこの心拍変動解析機能と実際の心電図上の心房細動の一致率を見た臨床研究ですが、おおざっぱに結果をお伝えすると、実際に不規則な脈の検知が通知された方は全体の0.5%程度、その中で心電図記録を行い、心房細動が記録されたのは約70%でした。この数字をどのように解釈するかは医療者間で様々です。しかし、諸外国のガイドラインでは日々の心拍チェックにスマートデバイスの重要性が書かれており、今後ますます重要性が高まっていくと思われます。
ここからは私見です。
心房細動が実際に検知されたかどうかも確かに重要ですが、日々自身の体調に気を配り、より前向きな生活を送っていただく『きっかけ』としてはこのようなスマートウォッチは意義があると感じています。特に心房細動は高血圧、糖尿病、高尿酸血症(痛風)、肥満、睡眠時無呼吸、飲酒、喫煙などの生活習慣病がきっかけで発症するものも多く、
生活習慣(原因)→心房細動(結果)という関係になっています。ですので、心房細動の可能性は、生活習慣(原因)を見直す『きっかけ』を与えてくれたと考えるほうが一般の方には受け入れやすいと思います。
N Engl J Med. 2019; 381: 1909-17.
https://support.apple.com/ja-jp/HT208931
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創