これりすくんで健診結果を活かしましょう
中目黒診療所では健診結果の説明に特に力を入れています。
普段お受けになっている人間ドックや健診の結果をどのくらい把握されていますか?
おそらく、多くの方は
・血圧が高いといわれた
・体重を減らすように注意された
・煙草をやめるように言われた
・病院で検査を受けるように言われた
・C判定と言われた
など、かなり大雑把だと思います。せっかく毎年健診やドックを受けているのに活かしきれていないのはとてももったいないことだと思います。特に生活習慣病はその名のごとく日々の生活の延長線上にあるもので、みなさんご自身でしっかり自身の状況を理解しておくのはとても有益です。
今回ご紹介するのは『これりすくん』と言って、日本動脈硬化学会がリリースしたアプリになります。かわいい名前ですが、とてもスグレモノで、皆さんの健診結果をもとに10年後の心筋梗塞や脳梗塞になる危険性が予測できるというものです。何故このようなことが分かるのか?についてちょっとだけ解説したいと思います。
病気の発症予測にはある一定集団を年単位で観察・研究する必要があります。このような集団の疫学研究は世界的に行われていて、日本では久山町研究が有名です。久山町研究は、1961年に福岡県久山町の地域住民を対象として始まった生活習慣病の疫学調査で、すでに60年ほどのデータが蓄積されてきました。これまでのデータの蓄積をもとに作られたのが動脈硬化性疾患発症予測ツール(これりすくん)になります。年齢や性別をはじめ、健診データを入力することで10年後の心筋梗塞・脳梗塞発症の危険性が分かります。
日本人集団の日本人のための疫学調査研究はとても貴重で、非常に有益な情報を我々に与えてくれます。以前であれば一部の医療者しか知らなかったような知見がアプリを使って誰でも自身の体調を客観的に評価することが可能になりました。当院でも健診結果の説明などに積極的に使っています。
是非一度、健診結果を片手に『これりすくん』を試されてみてはいかがでしょうか。
動脈硬化性疾患発症予測ツール https://www.j-athero.org/jp/general/ge_tool/
アップル、アンドロイド双方のアプリもリリースされています。
久山町HP https://www.town.hisayama.fukuoka.jp/index.html
中目黒診療所 内科・循環器内科
院長 西原崇創